「再会」

以前、「植木先生」について、機関紙に書いたことがあった(下記)。1週間前だったか、突然、電話をいただいて、今日、お会いすることができた。この先生は、私の信仰の原点にある方である。うれしい再会であった。以下、機関紙に書いた文章を転載する。

私が初めて教会に行ったのは、高校生の時でした。秋の特別伝道集会でした。残念ながら、その時のお話は、何も覚えていません。講師は、今はなき、吉崎忠雄先生でした。先生には悪いが、「アメリカでヒッチハイクした。手をこうやって挙げると、車が止まってくれるんです…」ということくらいしか、覚えていません。聖書の言葉とは、ほど遠い、聖書との出会いでした。
そんな私が、どうして教会に結びついたかのかというと、帰り際、教会の「おばさんたち」が、玄関先まで見送ってくれた。「潮田君、またおいでね」。これで、決まったのでした。ということで、これもまた、聖書とは関係のない話となってしまうのです。とにかく、最初は、聖書はどうでもいいのかも知れません。(え!? そんなこと言っていいのか…という声が聞こえてきますが、これが、私の現実だったのです)

ところが、教会に通い始めると、植木さんというR大学教育学部に通う学生がいたのですが、「潮田君、ここに座るといいよ」と言って案内されたのは、前から2列目。以後、そこが定席になりました。
話はそこからですが、「ヨハネによる福音書を、来週まで1章読んできて、分からないところを質問してください。なければ、僕のほうから質問するから」と。そういうわけで、初めて、聖書を読み始めたのが、ヨハネによる福音書だったのです。今でも、ヨハネによる福音書を開くと、あの時の礼拝堂が目に浮かびます。礼拝堂の独特な「におい」がしてきます。その光景と、においの中に、ヨハネによる福音書の言葉があるのですから、第一印象というものは不思議なものです。

ところで、その植木さんはR大学の学生だったために、誘われて、大学の聖書研究会の集まりに時々顔を出すようになりました。そこはインマヌエル教会の流れを汲んでいる雰囲気で、「きよめ派」の信仰、聖書は文語訳でした。その影響が強く、当時、私は「きよめ」の本を読んでは傾倒し、また、やたら文語訳を多用していました。そして大学生として最初の夏、その聖書研究会が主催する修養会が伊豆の河津七滝というところで開催され、私も、誘われて参加することになったのです。講師に招かれていたのは後藤牧人という、ナナハンに乗ってやって来た牧師でした。雑学に長けた面白い話に引き込まれていきました。しかし、もっとも引き込まれたのは、いうまでもなく聖書の話です。この河津七滝の修養会で、明確に、私はキリストを信じる者になりました。

植木さんは、やがてインマヌエル教会に転籍、その教団の牧師になり、やがて宣教師としてジャマイカに赴任、以後、30年あまりジャマイカで神学校の校長としてつとめ、昨年、帰国して、現在はインマヌエル総合伝道団の神学校の院長(植木英次先生)となっておられます。海外では「パウロ」と名乗っていましたが、当然と言えば当然の名前でした。学識、聖書への熱心な取り組み方、宣教への力強さ、社会的な影響力、そして個性的である点、風貌、どれをとってもそれほどの力ある人と、最初に出会えたことは私にとって幸いでした。私とは、どれをとっても雲泥の差があります。
たとえば、一緒にアルバイトしたことがありますが、希望が丘から電車に乗ったら、聖書を渡されるのです。ここを見ているようにというので見ていたら、何と暗誦を始めるではありませんか。ピリピ書だったと思います。1章1節から、ずっと…。横浜に着くまで全部、暗誦していました。タマゲマシタ。また、会社でのアルバイト期間が終わるその日、上司の人たちが、アルバイト学生のために送別会を開くと言うのです。私たち二人だけのために。そして、言うには「植木さん、ぜひ、私たちの会社に残ってもらえませんか」と。

そのような強烈な個性を持った人と出会って、だから聖書に導かれて、私は、変えられたのだと思います。その初めに、ヨハネによる福音書があります。わけがわからず読んだ聖書の言葉が、今も記憶に新しい。「初めに言があった…」。わけのわからない言葉であったにもかかわらず、それが私を生かす言葉になったのは、それを一緒に読んでくれたこの人、「植木さん」がいたからです。
聖書の言葉との出会いは、人との出会いと重なるのだと思います。その場の景色、においも必要です。聖書の言葉だけを自分の家で読んでいたのでは、何も起こらなかったのではないでしょうか。聖書の言葉は、特定の人がいて、特定の場所があって、そこに受肉していくのです。そのようにして、人は変えられてきたのです。これからも、そうでしょう。

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by rev_ushioda | 2008-09-24 17:25 | Comments(0)