「感情転移」

相談の過程で、来談した人が、過去に出会った人物(養育者である場合が多い)に対する感情や態度を、話を聞いてくれる人に向けることを、心理療法で「転移(感情転移)」と言います。
感情転移には、2種類があって、一つ(陽性転移)は、聞き手に、信頼・尊敬・感謝などの感情を持つことを言います。他の一つ(陰性転移)は、聞き手に、不信感・猜疑心・攻撃心・恨みなどを持つことを言います。どちらも、本来、向き合うべき対象に向けるべき感情を、今出会っている対象に抱く感情のことです。その時(幼児期)に出せなかった感情を、話を聞いてくれる対象に向けるのです。上の2種類の感情は、正反対のように見えますが、根は同じです。どちらも話をよく聞いてくれる人に依存的で、幼児のように、まとわりつくといった特徴があります。
教会では、お互いが人間として向き合っていこう(よく話を聞こう)とします。すると、そこで起こりやすいのが、感情転移なのです。今まで経験できなかった人間らしい関係の中で、まず、信頼感、尊敬心が強くなり、全面的に信頼したいと思うようになります。しかし、反対に、ちょっとしたことで「つまずき」、急に熱が冷めて、もう教会に行きたくなくなります。その根は同じなのです。なぜそういうことが起こるのかというと、その信頼や尊敬を、本来、向けていなければならない対象に対して向けていなかったり、または、その怒りを本来、向けなければならない対象に向けていなかったりしているからです。一方、そういう宿題を持つ人が安らぎを求めて教会においでになるとすれば、いよいよ感情転移は起こりやすくなります。
教会は、主イエス・キリストに出会うと同時に、自分自身と出会う場所です。たとえば、何かの拍子に、仲間の誰かに対してや牧師に対して不満や怒りを感じたとき、その不満や怒りは、今まで向き合ってこなかった誰か、に向けるべき怒りであったりしないでしょうか。私たちは、受け入れられて、初めて、自分の感情と出会います。そこに出てきた感情は、自分が「宿題」としてきた、大事な感情なのかもしれません。「陽性」「陰性」問わず、正しくその感情と向き合うことができたら良いと思います。
[PR]
Commented by 海二 at 2011-12-05 11:29 x
アーメン。
謎は解けた、です。
Commented by rev_ushioda at 2011-12-14 22:16
感情は、正しく表出することが大事ですね。それが、難しいのですが。カウンセリングが持っている知恵も、時には牧会の助けになります。
by rev_ushioda | 2011-12-04 09:47 | Comments(2)