「ヘロデの使者になるな」

クリスマスには、もう一つの物語がある。ヘロデが、ベツレヘムの幼児を殺したという話だ。
ヘロデは「人を送り、…ベツレヘムとその周辺にいた2歳以下の男の子を、一人残らず殺させた」。
王の命令を受けたのは、ヘロデの使者であった。王の命令といえ、よくこのような無惨なことを同胞に対して行えるものだと思う。しかし、一定の状況下では、人間から人間性が奪われるようである。この虐殺事件もそうであるし、軍隊では上官の命令が最優先されるが、そこに異常な事態を引き起こす。いわゆる、「集団ヒステリー」である。

『戦争と罪責』 (野田正彰著、岩波書店) という本がある。精神科医である著者は、戦争における虐殺行為は洋の東西を問わず起こっているが(第二次世界大戦やベトナム戦争など)、欧米ではそれに関わった兵隊たちの10%が精神的なダメージを受けているのに対して、日本軍においてはそのようなことはほとんど起きていないということに注目、聞き取り調査をした。その結果、日本の軍隊には悲しむ心、「共感力」といったものの欠如があったのではないかという結論を得る。だから、殺されてゆく者たちへの感覚が乏しかったのだと。
そして、日本人に感情鈍麻あるいは感情麻痺の傾向を引き起こすのは感情を抑圧しようとする日本の社会構造自体に問題があるのではないかと鋭く分析をしてゆくのである。そして過去を知り、豊かな感情表現を交えて語り合い交流するの中に、感じる心を取り戻してゆくように、と提言している。

ヘロデの使者の中にあったものは、そのまま、私たちのものでもあるということ。そうだとすれば、共感力の欠乏、感情の欠落が、やがて神の子イエス・キリストを、(信仰を!) 簡単に不要としてしまうのである。
私は、共感力の訓練? 気持ちの聴き方に重きを置いた「コイノニア会」を教会で、また、13年間、そのテーマの公開勉強会を、地域の公的施設で行なっている。何かのお役に立てばと願いつつ。

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by rev_ushioda | 2010-12-04 11:34 | Comments(0)