「数字では人が見えない」


「星の王子さま」の冒頭に、こう書かれている。

「おとなというものは、数字が好きです。新しくできた友だちの話をするとき、おとなの人は、かんじんかなめのことはききません。
(どんな声の人?)とか、(どんな遊びが好き?)とか、(チョウの採集をする人?)とかいうようなことは、てんできかずに、(その人、いくつ?)とか、(きょうだいは、なん人いますか?)とか、(目方はどのくらい?)とか、(おとうさんは、どのくらいお金をとっていますか?)とかいうようなことを、きくのです。そして、やっと、どんな人か、わかったつもりになるのです。
おとなの人たちに(桃色のレンガでできていて、窓にジェラニウムの鉢が置いてあって、屋根の上にハトのいる、きれいな家を見たよ)といったところで、どうもピンとこないでしょう。
おとなたちには(10万フランの家を見た)といわなくてはいけないのです。すると、おとなたちは、とんきょうな声を出して、(なんてりっぱな家だろう)というのです。」
(内藤濯訳、岩波少年文庫、昭和44年)

数字の世界で生きている人には、どんな声の人か、どんな遊びが好きか、チョウの採集をする人かどうか、など、どうでもいいのだ。また、その家が桃色のレンガでできていて、窓にジェラニウムの鉢が置いてあって、屋根の上にハトがいるかどうかなど、どうでもいいのだ。
しかし、人や物を立体的、豊かに見たり、感じたりするためには、それこそが大事なのだと、「星の王子さま」の著者、サン・テグジュペリは言っている。
子どもは、同じ世界、また人間を、大人では味わえない豊かさをもって見ている。ところが、私たちは、いつの間にか数字に関心が移ってしまい、それで事柄を理解しようとしている。
「大人」の見方、つまり平板な二次元の世界で見ようとしているうちは、人が、どうしても理解できないのだ。
[PR]
Commented by はじめまして at 2008-09-09 22:58 x
はじめまして。
ブログ拝見させていただいて感銘を受けました。
数字で見ると比較できたり見なくても概略がつかめて便利であるという長所がある一方で分かった気になり見落としている情報が多くあるんだということを改めて教えていただいた気がします。
Commented by rev_ushioda at 2008-09-10 23:49
ずいぶん前のブログに、訪問、有難うございます。(^O^)
人間は、多分、大事なことは数字で(他人に)伝えていないと思います…
by rev_ushioda | 2006-03-09 00:25 | Comments(2)